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SilverBullet44というキーボードの商品ページに書ききれないこだわり

最近売り出したSilverBulletというキーボードの設計思想を紹介をさせていただきます。

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SilverBullet44

アルミプレート

なんといってもコンセプトはアルミプレート。
影響を受けたのは天キー2というイベントで見かけて衝動買いした かぎざら屋さんHalberdという同じくアルミプレートのキーボード。

実はMCU直付けが怖くてまだ手を出せていないのですが、 トッププレートにスイッチとキャップをはめ込んで仮組みしたところ、 いままでにない打鍵感を経験しました。

自分は格子配列も好きですが、 分割のカラムスタッガード配列が好きなので、 この打鍵感を自身の分割キーボードに採用したくなったのです。

自作キーボードのプレートとマウント方式とトッププレートについて

国内の自作キーボードはサンドイッチマウントという、 上板と下板で回路基板を挟み込んで、 上板にスイッチをさし込むタイプが主流です。 3Dモデリングしなくていいので、 設計が簡単なのとコストも安いです。

トッププレートは外観の多く占めるし、 スイッチがはまっているので素材によって 打鍵感、打鍵音に影響を与えるとても重要なパーツです。

国内キーボードのプレート素材はアクリルとFR14(ガラスエポキシ)という、 いわゆるPCB回路基板の2つが主流です。 アルミプレート、アクリル、PCBそれぞれに特徴があるので、 個人の主観ではありますがまとめます。

  • アクリル
    • メリット
      • 比較的安い
      • 透明やマットなど光を通す素材が選択可能
      • 柔らかい打鍵感、打鍵音
    • デメリット
      • ボリュームディスカウントが効きにくい
      • スイッチをはめ込むときに割れてしまうことがある。
      • MX互換のスイッチの1.5mmのトッププレートの爪があはまらず、トッププレートが落ちてしまうことがある。
  • PCB
    • メリット
    • デメリット
      • 大袈裟に言うとパイ生地みたいな構造なので、打鍵音が響いて安っぽい(個人の主観)
  • アルミ基板
    • メリット
      • 爪が引っかかる
      • めっちゃ丈夫
      • 音がいい、気持ちいい(個人の主観)
      • 金属光沢かっこいい(個人の主観)
    • デメリット
      • 若干割高
      • 加工精度イマイチ
      • 裏表がある
      • アルミは何もしなくても薄い酸化皮膜を作りますが、絶対錆びないとは言い切れない
  • アルマイトアルミ
    • いいけどちょっとコスト的に断念
  • (トッププレートなし)
    • メリット
      • 柔らかい打鍵感
      • ただより安いものはない
    • デメリット
      • 剛性にかける(打鍵の力が直接回路基板に加わる)

キーボード持ち運んでるとハンダクラックでLEDがパリピになったりもするので、 剛性が高く、音がいいアルミ基板プレートで作ってみました。

他にはステンレスプレートもありますが、国内だと多分Helixくらいです。
良くも悪くもめちゃくちゃ固くて重たくて高価です。一度はやってみたい。

親指キー & プロマイクロスペース

あくまで個人の感覚ですが、 親指は結構開くのでGとかHの外(内?)側に2キー設置しています。
国内だとclaw44とかに近いコンセプトですが、Clowより詰め込んでいます。

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親指キー

必然的にプロマイクロのスペースが広くなってしまい、 他のHelixベースのキーボードのようにスペーサー2箇所だと少し弱そうなので、 3箇所にするべく、プロマイクロを45度傾けました。
結果的にはUSBケーブルを斜めに出すことで、多くの方にとっては取り回しやすくなったのではないでしょうか。

このデザインは我ながら結構成功だと思っています。

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USBケーブルを斜めに取り出す

光る保護プレート

誰しもがそうだと思うのですが、 3極あるとどうしてもNeoPixel系のLEDを延長したくなります!!(ならない)

というわけでよくあるアクリルプレートの下にLEDを埋め込むPCBを挟んで、 「光る保護プレート」にしました。

メイン基板との接続はネジ止めだけなのでとても楽ちんです。
ただし、これこそまさにアバンギャルドな取り回し方なので、 宗教的にNGな方はメイン基板のジャンパーを飛ばさなければ スペーサーに電気が流れたりしないので何卒このアバンギャルドをご容赦ください。
(鴨南蛮さんに「トップのネジにPCネジ使えば手の触れる部分に電極なくていい」とアドバイスいただき、採用しました。)

アクリルには大人気イラストレータShigemiさんにデザインしてもらいました。 ハーフミラーアクリルを使ったので、光っていないときは鏡のようで、 光るとかわいい鳥たちが浮かび上がります。
控えめに言ってめっちゃかわいいです。
保護PCBは全面マスクで塗ってあるので、 ハーフミラーアクリルと合わせ鏡になり、 ブラックホールLEDのような奥行きが生まれます。

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shigemiPlate

圧電サウンダ対応

国内ではHelixPicoとErgoDash系で採用実績がある、圧電サウンダに対応しています。
ガンダムのHaloとかスターウォーズR2-D2みたいでかわいいです。
音階を奏でることもできます。
バックライトLEDと同じくらい役に立ちます。

写真PCB

ボトムプレートは写真の濃淡を点描画みたいに加工してシルクとして印刷してあります。
普段見えないところなので、ちょっとしたお楽しみに。

橋の写真は長野県の美和ダムというところで自分で撮影し、 東京タワーの写真はみずさんにご提供いただきました。
めっちゃイメージ通りの写真ありがとうございました!

右手が田舎、左手が東京で、 遊舎工房に行けない地方在住の私の葛藤を表しています。

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田舎PCB
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TokyoPCB

トップマウントケース(comming soon)

SilverBulletはネジ穴をすべてスイッチの外側に配置しています。 これは3Dプリントケースを使うことで、 国内では珍しいトップマウントという、 より見た目も打鍵感もよいマウント方式に対応させるためです。

大方の3Dモデリングは完了しています。 完成報告を待たれよ!

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3Dケース

Bluetooth対応をやるかもしれない

BAT+のジャンパーを飛ばすことでBleMicroProの電源を 保護プレートから供給できるようになります。

ふんだんなスペースを使って、電池3つ乗せの5V給電して、 LEDを光らせてあげたいなーと目論んでいます。

いまのところ設計をまったくしていないのと、 なによりBleMicroProを持っていないので気が向いたらやります。 気が向かなかったらやりません。 待ちきれない人は自分で作ってくりゃ。

失敗談

実は親指だけKailhLowProfile(LP)のバージョンを試作しました。 LPはMX互換スイッチより低背で小さいので、 親指をより少ない可動範囲で活用でき、持ち上げなくてよくなります。

問題はトッププレートでした。 MXはpcbとスイッチスイッチまでの距離が5mmですが、 LPは高さを抑えるため2mmです。
一枚のトッププレートではマウントできないため、 複数の素材を組み合わせることにしました。

MX Switch
1mmアルミ
2mmアクリル LP Switch
2mmアルミ
PCB

びっくりしたのはその静音性! 静音スイッチじゃなくてもほとんど打鍵音がしないんです。
問題はコストがやばい(主に2mmアルミ)のと、 静音ならアルミじゃなくてアクリルでよくね?ってなったので、 アルミプレートコンセプトのSilverBulletでは採用を見送りました。

コンセプトからは外れましたが、 静音性求めたい人には悪くなかったと思っているので、 2mmアクリル+3mmアクリルなどでリベンジするかもです。

ラスト

ギンギラギンのキーボード、SilverBullet。
もしご興味あればよろしくお願いします。

booth.pm